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菅義偉政権の発足で、日本銀行の金融緩和政策は一段と持久戦の様相が色濃くなってきた。新型コロナウイルス感染症による影響に加え、新政権が重視する構造・規制改革もデフレ圧力として作用するためだ。
菅首相は16日の就任会見で、経済再生を重要課題に掲げ、大胆な金融政策や機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を柱としたアベノミクスを継承する考えを改めて表明した。黒田東彦日銀総裁も17日の記者会見で、「引き続き政府としっかりと連携しながら政策運営を行っていく」と応じた。
菅首相の政策は、携帯電話料金の引き下げなど照準を絞った構造・規制改革が特徴だ。規制改革を推進すれば、新型コロナ収束後も物価が上がりづらい状況が続く。すでに2%の物価安定目標の実現は棚上げした状態にある金融政策運営は、緩和環境をさらに長く維持していくことになる。
黒田総裁も会見で規制改革の重要性を指摘し、「規制改革、構造改革はさまざまな痛みを伴うが、それに対するセーフティーネットも政府は考えていると思う」と分析。日銀としても「金融緩和を通じて一種のセーフティーネットを供給していく用意がある」と語り、規制改革対応からも緩和を続けていく必要性を示唆した。
規制改革は企業の競争促進や生産性の向上を促し、世界的に見た生産性の低さが指摘される日本経済にとって不可欠な取り組み。しかし短期的には生産性の低い企業の淘汰(とうた)を進めるという側面もあり、新型コロナを受けたデジタル化・オンライン化とともに物価の下押し圧力となる。
日銀の7月の「経済・物価情勢の展望( 展望リポート)」によると、消費者物価(除く生鮮食品)の見通しは、2022年度でも前年比0.7%上昇と2%には遠く及ばない。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「恐らくパンデミック(世界的大流行)危機が訪れなくても、2%インフレの達成は見通せなかっただろう」と指摘。緩和余地も限られる中で、「日銀が2%のインフレ目標を撤回することはないとしても、どこかの段階でより長期の目標に位置付けし直す必要がある」と指摘する。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストも物価目標の達成が展望できない中、金融政策は「金融システムに過度なストレスを与えない持続的なフレームワークに再構築するべきだ」と主張した。
18日に発表された8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.4%低下と、3カ月ぶりのマイナスとなった。政府が7月下旬から始めた「GoToトラベル」事業の影響で大きく下落した宿泊料が、全体を押し下げた。
(8月の全国消費者物価指数の内容を追加します)
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