米疾病対策センター(CDC)は30日、米東部マサチューセッツ州で発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)を分析した結果、感染者の74%がワクチン接種を済ませた人だったと明らかにした。一部の感染者から採取した検体を調べたところ、9割が感染力の強い変異株「デルタ株」だったといい、ワクチンを接種しても自身が感染したり、他人にうつしたりする可能性があると警告している。
CDCは27日、デルタ株の拡大を受けてマスク着用に関する指針を変更し、感染者が多い地域では、接種を受けた人も公共施設の屋内ではマスクを着用するよう求めていた。分析はこの指針変更の根拠になったもので、CDCのワレンスキ所長は30日の声明で「ワクチン未接種の人や免疫力の弱い人に知らず知らずのうちに感染させないためにマスク着用を奨励した」と説明した。
分析結果によると、同州バーンスタブル郡で7月初旬、数千人が集まる複数の夏季イベントが開催され、クラスターが発生。感染者469人のうち346人はワクチン接種を完了した人だった。ワクチン接種済みの感染者からは、未接種の人と同レベルのウイルス量が確認されたという。入院患者5人のうち4人はワクチン接種済みだったが、死者はいなかった。
このため、CDCは「重症化や死亡を防ぐためにはワクチン接種が最も重要だ」と指摘。その上で、他人に感染させないために屋内ではマスク着用が有効だとの考えを示した。米メディアによると、CDCは内部文書の中で、デルタ株が水ぼうそうと同程度の強い感染力を持っていると分析しており、「(ウイルスとの)闘いが変化したことを認めるべきだ」と警告しているという。【ニューヨーク隅俊之】
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