2022年4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率2.2%増となった。金額ベースで新型コロナウイルス感染症が流行する前の水準を回復した。感染者数の減少で行動制限が解除され、対面型サービスを中心に個人消費が持ち直した。内閣府が15日発表した。
実質GDPは542.1兆円と、コロナ拡大前の19年10-12月期の水準(540.8兆円)を上回った。21年4-6月期に回復した米国、同年10-12月期のユーロ圏に比べて日本は出遅れていた。
プラス成長は3四半期連続。1-3月期の実質GDPは従来の年率0.5%減から0.1%増に上方改定された。
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山際大志郎経済再生担当相はGDP発表後の談話で、先行き景気は持ち直していくことが期待されるものの、物価上昇や各国の金融引き締めによる世界景気の減速懸念など、日本の「景気回復を阻害しかねない不確実な要素に十分注意する必要がある」と説明。政府としては、物価と景気の両面で「予備費を機動的に活用しながら、迅速かつ総合的な対応を切れ目なく進める」とした。
エコノミストの見方
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員:
- 事前予想よりも個人消費はやや弱かった。エネルギーや輸入品、食料品の値上がりで個数や回数が増えず、最終的に消費の伸び悩みにつながった
- コロナ前水準をギリギリ達成。19年10-12月期は消費税率が引き上げられて景気がすとんと落ちた水準で、それを回復しても水準感としては低い
- 7-9月期のGDP、個人消費もプラスにみている。人が動いているプラス要因と、物価とコロナのマイナス要因では、現時点でプラスの方が多い
農林中金総合研究所の南武志主席研究員:
- 日本はコロナでの落ち込みも少なかったが、戻りも鈍い。それが日本経済の特徴だと思う
- 7-9月期もプラス成長とみているが、足踏み感が徐々に出てくるだろう。世界経済の減速を受け、年末に向けてマイナス成長の可能性も出てくるかもしれない
- 原油高は世界経済減速である程度落ち着いてくるだろうが、小麦などの食料は政府も追加で対応してくるのではないか。物価高の影響で消費が減速することもあり得る
詳細(内閣府の説明)
- 実質GDPは19年10-12月期のコロナ前水準に比べプラス0.2%
- 個人消費は外食、衣服、宿泊サービス、旅客サービスがプラス寄与。まん延防止措置が3月に終了し、4-6月期は対面サービス中心に回復
- 設備投資はソフトウエアへの支出が増加に寄与
- 公的資本形成は6四半期ぶりの増加。請負金額が1-3月期にプラスに転じていたが、出来高ベースで少し遅れてプラスに転じた
(山際経済再生相の談話とエコノミストコメントを追加して更新しました)
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