Thursday, July 14, 2022

連続0.75%利上げを支持 米連銀総裁、1%上げは否定(写真=AP) - 日本経済新聞

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米セントルイス連銀のジェームス・ブラード総裁は13日の日本経済新聞のインタビューで、通常の3倍にあたる0.75%の利上げを26~27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で支持すると明言した。13日発表の6月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.1%上昇した。ブラード氏はインフレは峠を越えていないと指摘したものの、2023年に鈍化するとの見方を示し、現時点で利上げ幅を1%に拡大する考えは否定した。(聞き手はワシントン=大越匡洋、高見浩輔)

――6月のCPIは前年同月比で約40年半ぶりの上昇幅でした。

「発表直後の数字を見ただけだが、金融市場の予想を上回る伸びとなった。政策金利を2022年中に景気を熱しも冷やしもしない中立金利を超える水準に迅速に引き上げるという米連邦準備理事会(FRB)の戦略の正しさを裏付けるものだ。迅速に行動しなければならない」

――26~27日のFOMCの利上げ幅は0.75%が適切ですか。1%も選択肢ですか。

「これまで我々は0.5%か0.75%かという枠組みで議論してきた。FOMCの経済見通しによると、政策金利の長期水準の中位予測は約2.5%だ。7月会合で0.75%利上げすればこの水準まで到達する。私は22年中に政策金利が3.5%に到達するのがよいと思う。インフレ率に下方圧力がかかることになる。今のところよいペースだ」

「6月に実施した0.75%利上げは1994年以来だ。本日時点で私は7月会合も0.75%の利上げを提唱する。2回連続でこれほど大きな利上げに動くのは前例がないだろう」

――現在1.5~1.75%の政策金利が22年末までに4%を超える可能性をどうみますか。

「可能性はあるとは思うが、(私の想定する)3.5%はすでにかなり積極的だ。仮によくないデータが続けば秋以降にさらに利上げペースを上げることも検討できるだろう」

――6月のFOMCの経済見通しでは18人の参加者のうち5人が23年末までに政策金利が4%を超えると予想し、最も高い予想は4.25~4.5%でした。政策金利が4.5%を超える可能性はないですか。

「私は『前倒し戦略』を提唱してきた。できるだけ早く政策金利を必要な水準に引き上げ、できるだけ早くインフレに低下圧力をかけることが理にかなう。22年に利上げを前倒しし、23年にそれほど動く必要がないようにすることが基本的な考え方だ」

――インフレはまだピークを越えていないでしょうか。

「まだ越えていないようだ。より多くの財やサービス、家賃のようなより持続的な要素に広がり、好転に時間がかかる。供給要因が薄れていくこと、FRBがかなり唐突に政策を転換してインフレに下方圧力をかけ始めたこと、金融市場の価格設定がすでにFRBの引き締めを反映していることもあり、再びディスインフレ(物価上昇ペースの鈍化)の過程に入ると考えている」

――米国がすでに景気後退に入ったとの見方があります。

「雇用は非常に好調で、景気後退に入ったという解釈と一致しない。半年で270万人の雇用が創出されるような不況は見たことがない。22年前半の米経済は21年の成長ペースより減速しているものの、景気後退の水準まで落ち込んでいるわけではない」

――新興国も自国通貨防衛とインフレ抑制のために急速に金利を引き上げています。世界の債務水準が高いなか、急激な引き締めが新たな金融危機を招きませんか。

「海外の多くの中央銀行が米国の金融引き締めを見越し、それに先駆けて動いたことを評価したい。その分、米国の政策が海外経済、特に新興国経済に与える影響への懸念が和らいだ。ただ米国の金融政策がこれほど素早く動けば、金融市場が世界全体で資産価格を再決定しなければならない。それは簡単ではない」

――減速する中国経済をどうみていますか。

「中国の問題は依然として新型コロナウイルスだ。中国のゼロコロナ政策は生産停止などにつながる。今年も中国経済の変動が続くだろう。世界経済の成長は鈍るが、米国のインフレ抑制の観点からは(需要が落ち着くという点で)悪い話ばかりではない」

――ドル高が進み、外国為替市場では一時、1ユーロの価値が1ドルに並ぶ「パリティ(等価)」を20年ぶりに割り込みました。

「欧州の利上げは米国ほど速くない。日銀は2%のインフレ目標達成に苦労し、金融引き締めで他の国に後れをとることでインフレの一部を輸入し、2%の目標を達成しようと考えているように思う。それは合理的だ。政策の差でドル高が進んでいる」

――過去の利上げ局面は「サプライズ」を伴うこともありました。

「ボルカー議長の80年代前半、グリーンスパン議長による94~95年の金融引き締めをみると、ボルカー氏はFRBへの信用を勝ち取るためにインフレと戦い、グリーンスパン氏は2%のインフレ期待を定着させた。当時と比べるとFRBの信頼性は高まった。(FRBの利上げシナリオが)市場価格に反映され、インフレ抑制に役立っている」

――6月のCPIを受けてインフレ予想はさらに高まると思いますか。

「まだ(CPI公表後の)物価連動国債の値動きをみていないが、これまでは5年先の物価予想などが下がってきていた。中長期のインフレ予想はコントロールされている」

――米経済を軟着陸させられる自信があるのですね。

「94〜95年のように軟着陸し、インフレ率を2%台に戻し、均衡のとれた成長軌道に乗せることができると期待している。22年前半にタカ派的な政策に移行したにもかかわらず、労働市場が好調を維持したことは心強い。もちろんデータを注視していく。景気は減速するが、私たちの求める軟着陸になるはずだ」

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