[ロンドン/ニューヨーク 13日 ロイター] - 生活費の上昇にあえぐ欧米の消費者がチョコレートへの支出を削っていることが、最新のデータやメーカー大手幹部への取材で明らかになった。
米チョコレート大手ハーシーの投資家広報(IR)担当バイスプレジデント、メリッサ・プール氏はロイターの取材に対し、過去数カ月間で米国のチョコレート価格は「1桁台後半から2桁台前半」の上昇を示した一方、数量ベースの販売は2―3%減少したと明かした。
ハーシーは以前から需要が減速すると予想していたが、足もとで販売が落ち込むまでは「消費者はほとんど消費を減らしていなかった」という。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)終盤、他の多くの消費財と同じくチョコレート販売は増加し、特に米国でその傾向が顕著だった。景気刺激策に伴う政府からの給付に支えられたほか、まとめ買いなど「出無精のライフスタイル」が定着したことが背景にあった。
しかし、ここに来て一部消費者の行動に変化が見られるという。例えば店舗で何パックも入った商品を買うのではなく、ばら売りのキャンディーバーを選ぶといった変化だ。
市場調査会社IRIの調べでは、6月12日までの13週間に米国のチョコレート販売は数量ベースで前年同期比1.5%減少した。この間、価格は8.2%も上昇している。
IRIのプリンシパル、ダニエル・サドラー氏は「チョコレート消費は価格に敏感になっていくだろう。消費者は今後もチョコレートを買うが、より小さいサイズで我慢するようになる。販売数量が減っているのはそのためだ」と語った。
IRIのデータでは、有名メーカーの商品よりも安い、小売店のプライベートブランドのチョコレートの販売数量が過去半年間に8%増加したことも分かった。
コンサルティング会社マッキンゼーの調査では、英国の消費者の40%は5月半ばまでの4─6週間で、以前より安い菓子類に移行した。
安いチョコレートはココアの含有量が少ないため、販売数量が同じでもココア需要は減少することになる。
業界関係者や専門家によると、ロシアによるウクライナ侵攻も需要に打撃を与えた。両国は通常、世界のココア需要の5%を占めている。
<シュリンクフレーション>
ハーシーはここ数カ月、価格に敏感な顧客が訪れるディスカウント店や「1ドルショップ」への商品提供を効率化、簡便化するため、ペンシルベニア州にある新たな梱包用倉庫を使っている。
ハーシーのプール氏は、同社が一部商品について、価格を据え置いてパッケージのサイズを小さくする「シュリンクフレーション」という手段にも出ていると述べた。チョコレート商品1袋に3ドルしか払えず、5、6ドルは出せないという顧客をつなぎとめるためだ。
プール氏によると、この手法には時間と計画を要するので「想像されるほど頻繁には」使っていない。「インフレが激しいため、定価の引き上げに頼ることの方が多い」という。定価が2ドル未満の商品は、4月にはハーシーの商品全体の25%を占めていたが、現在は約20%に減った。
しかし過去1年半、ハーシーは一部の季節商品についてシュリンクフレーションを行っているとプール氏は明かした。
「キャドバリー」などのチョコレートを製造する米食品大手モンデリーズ・インターナショナルの広報担当者も電子メールで、「一部商品の重量をわずかに減らすことを決めた」と述べた。英国で販売されている「キャドバリーデイリーミルク」は現在、サイズが小さくなっているという。
消費者が安いチョコレート商品に移行するのと同様にシュリンクフレーションも、販売数量が代わらなくてもココア需要が減るという影響をもたらす。
業界関係者や専門家によると、チョコレートメーカーは元々、今年の需要を約2.5%増と予想していたが、現在は1%増に下方修正した。インフレが根強く続き、ロシアとウクライナの戦争が続くなら、来年の伸びはゼロになると予想している。
(Maytaal Angel記者 Jessica DiNapoli記者)
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