Saturday, July 2, 2022

アクエリアスが「1本50円」 工事現場・工場で広がる「熱中症対策自販機」、企業のねらいは - J-CASTニュース

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   工事現場や工場など、夏場に高温になりやすい作業所で「熱中症対策自販機」の設置が進んでいる。事業者が飲料費用を負担することで、現場で働く人たちが安く飲料を買えたり、無料で飲料をもらえたりするシステムだ。

   2022年は各地で観測史上最速の梅雨明けを記録し、連日猛暑日が続くなど、現場労働者の熱中症リスクが心配されている。各社の取り組みを取材した。

  • ツイッターで拡散された「アクエリアス50円」自販機(sina_mtcさん提供)

    ツイッターで拡散された「アクエリアス50円」自販機(sina_mtcさん提供)

  • 青森県の素材メーカーに設置された「DAKARA給水所」(サントリー食品インターナショナル提供)

    青森県の素材メーカーに設置された「DAKARA給水所」(サントリー食品インターナショナル提供)

  • ツイッターで拡散された「アクエリアス50円」自販機(sina_mtcさん提供)
  • 青森県の素材メーカーに設置された「DAKARA給水所」(サントリー食品インターナショナル提供)

設置先が費用負担し、現場で働く人に水分補給の機会を提供

   「これはありがたい」――。6月22日、仕事のため宮城県内の工事現場を訪れたツイッターユーザーのsina_mtc(@Sina_mtc)さんは、現場に設置されていた自販機を見て、感謝の思いを口にした。「熱中症対策自販機」と書かれた自販機で売られていたのは、清涼飲料水の「アクエリアス」。600ミリリットルサイズのペットボトルで、価格は50円だ。

   sina_mtcさんは6月23日、J-CASTニュースの取材に「規模が大きい工事現場なので、熱中症対策をしっかりしていて、業者のことを考えている素敵な現場だなと思いました」と話す。自動販売機を映した投稿は2.5万リツイート、19万いいねを超える反響を集めた。

   コカ・コーラグループで自販機事業を手がけるコカ・コーラボトラーズジャパンの広報担当者は6月29日、取材に「福利厚生の一環として設置先さまが費用負担をされ、設置先さまの現場で働く方に向けた水分補給の機会として、提供されているものになります」と説明する。話題になった工事現場以外にも同様の自販機は設置され、商品ラインアップは「設置先さまのニーズをお伺いしながら反映しています」とした。

   消防庁のデータによると、21年5月~9月にかけて熱中症により救急搬送された人は全国で4万7877人にのぼる。発生場所は住居(39.4%)、道路(17.5%)で半数を占め、次いで多かったのが道路工事現場、工場、作業所などの仕事場(11.2%)だ。屋外の仕事場は直射日光や強烈な「照り返し」を受け、風通しが悪い工場は熱がこもりやすい。

「タダ」でもらえる自販機も

   プレハブ建築などを手がける大和リースは、同社が飲料の販売価格の一部を負担する自販機を18年5月から工事現場で導入。21年には同社の物流拠点・工場でも設置を始めた。

   21年度の導入実績は工事現場が38か所、同社の物流拠点・工場が13か所。工事現場では「アクエリアス」を50円で販売し、物流拠点や工場では「ポカリスエット」「イオンウォーター」(いずれも大塚製薬)、「GREEN DA・KA・RA」(サントリー)などの清涼飲料水を50円~70円で販売している。

   大和リースの広報担当者は22年6月29日、「取り組みに対する反響は大きく、協力会社さまからも喜ばれています」と説明。物流拠点や工場では「作業員や物流の運転手の方々に好評だった」とした。

   飲料メーカー側も、事業者のニーズに応えている。サントリー食品インターナショナルは22年5月から「DAKRA給水所」(熱中症対策自販機)の展開を開始。設置場所は高温となる作業所周辺の休憩スペースや、工場内の設置を想定している。ラインアップはサントリーの法人向け熱中症対策飲料「DAKARA PRO」をはじめ、事業者が対象飲料の中から自由に選べる。

   従来の熱中症対策自販機とは異なり、従業員が会社から配られた専用カードを自販機にタッチして、無料で飲料を受け取れる仕組みだ。カード代と飲料代は事業者側が負担する。同社の広報担当者は29日、「従業員に飲料が行き届いているか確認したい」という事業者の課題を解決するため、従業員の受け取り状況をチェックできるカード式を採用したと説明する。

   担当者によると、工場などでは総務担当者が飲料をケースで購入し、1つずつ冷蔵庫から手渡しする例もあるという。このやり方では、従業員が飲みたいときに飲料が冷えていないという問題もあった。

   給水所は6月27日に青森県の素材メーカーの事業所に初めて導入され、5台が設置された。担当者によると、従業員からは「冷たい飲み物が飲みたいときにすぐにもらえて嬉しい」「重い水筒を持ち歩かなくていいから楽」といった声が聞かれ、企業側も「全従業員に均等な福利厚生の提供ができる」と好意的に受け止めているという。給水所は23年に100台の設置を目指す。

(J-CASTニュース記者 佐藤庄之介)

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