国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2022年分の路線価(1月1日時点)を発表した。全国約32万地点の標準宅地は平均で前年に比べて0.5%上昇した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が徐々に緩和され、人流の増加などの期待が集まった観光地や繁華街などでプラスに転じたり、下げ幅が縮小したりした地点も多く、2年ぶりに前年を上回った。
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都道府県庁所在地の最高路線価が上昇したのは横浜や名古屋、京都などの15都市で、前年より7都市増えた。下落した都市は前年より6都市少ない16都市だった。
今回の路線価はオミクロン型が猛威を振るった「第6波」前の今年1月1日時点の価格だ。インバウンド(訪日外国人)の減少といった新型コロナの影響は続いているものの、3月に感染対策の行動制限が全面解除されて以降、足元では国内旅行者などの客足が回復傾向にあるとみられる。21年分の下落率がトップだった奈良市は前年に比べて1.4%マイナスだったが、下落幅は11.1ポイント縮小した。
全国トップの路線価は37年連続で東京都中央区銀座5の文具店「鳩居堂」前だった。価格は1平方メートルあたり4224万円。2年連続で下落したものの、マイナス1.1%にとどまった。
リモートワークの浸透などで、郊外の住宅地などで路線価が上昇する地点が目立ったが、都心のオフィス街は昨年に続いて下落した。オフィスビルなどが建ち並ぶ東京都千代田区丸の内2はマイナス1.3%と、前年(マイナス1.1%)より下落幅が拡大、中央区八重洲1もマイナス1.3%となった。
東京国税局の担当者は「在宅勤務の広がりなどコロナ禍での働き方の変化を受けて、東京都心のオフィス街は空室率が高くなり、賃料が低下する傾向にある」と指摘している。
都道府県別で上昇したのは20都道府県だった。前年は7道県だった。上昇率が最も高かったのは北海道でプラス4.0%だった。プロ野球・日本ハムの新球場が開業予定の北広島市や札幌市などを中心に地価が上昇傾向にあるという。次いでオフィス需要などが高まっている福岡県がプラス3.6%だった。
一方で下落したのは前年は39都府県だったが、今年は27県だった。下落率が最も大きかったのは和歌山県でマイナス1.3%、愛媛県がマイナス1.1%で続いた。
【各地の路線価】
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