デジタル庁は20日、新型コロナウイルスのワクチン接種の電子証明を発行、同日午前にもスマートフォン向け専用アプリが利用できる。アプリを操作すると、スマホ上で接種証明を表示できる仕組み。同庁は「自治体窓口に行かなくて済み、紙の接種証明書を持ち歩く必要がなくなる」(牧島かれんデジタル相)と利便性を強調するが、利用できない人や、誤った情報が出てくるケースもある。アプリはどのように使い、どういったケースが想定されるのか。(デジタル編集部)
◆マイナンバーカードは必須 暗証番号3回間違えるとロック
Q 電子証明の自動発行に必要なものは。
A スマートフォンと、本人確認のためのマイナンバーカード、海外用にはパスポートが必要だ。スマホはマイナカードを読み取れる(NFC Type B対応の)端末で、いわゆる2世代前の規格以上なら利用できる。アイフォーン(iPhone)ならiOS 13.7、アンドロイドならAndroid 8.0以降となる。
Q アプリはどこからインストールするのか。
A iPhoneならApp Store(アップストア)、アンドロイドならグーグルプレイで「接種証明書」と検索してから無料でダウンロードできる。
Q なぜマイナカードが必要なのか。
A 個人の接種記録は政府が運用する「ワクチン接種記録システム(VRS)」で一元管理されており、記録がマイナンバーとひも付けられているためだ。現在、マイナカードの普及率は40%。スマホやアプリを持っていない人は、紙の証明書を市区町村に申請できる。
Q アプリをダウンロードしたら。
A アプリの指示に従い、マイナカードが交付された時に設定した4桁の暗証番号を入力する。3回続けて間違えるとロックがかかるので気を付けないといけない。続けてカードやパスポートをスマホに読み取らせる。その後、自治体の選択場面が出るので、接種券が発行された自治体(接種時に住民票があった自治体)を選ぶと、VRSに登録されている接種者の情報や接種回数、接種日、ワクチンの種類や製品名、製造番号などが表示される。海外用では、パスポートの国籍や旅券番号が記載される。
Q 電子証明に有効期限はあるのか。
A 期限はなく、アプリを起動すればいつでも表示できる。ただ、接種を一回終えた段階で取得した場合は2回目を打った後に、2回終えた段階で取得した場合は3回目を打った後に、それぞれ最新の証明を表示させるためには、あらためてアプリから取得する必要がある。
◆「旧姓併記」のマイナカードでは発行されない
Q マイナンバーカードやパスポート持っていてもアプリで証明書が発行されないケースはあるのか。
A マイナカードの氏名欄に、括弧書きで旧姓が記載されているなど、旧姓併記がある場合は、発行できない。本人確認に関連して技術的な問題が生じるためで、デジタル庁は、将来的には改修して対応できるように取り組んでいるという。同様に、パスポートに旧姓・別姓・別名の併記がある場合、海外用の電子証明書は発行できない。いずれの場合も、市区町村の窓口で紙の接種証明書は取得できる。
◆VRSが「要修正」のままでは発行されない
Q 接種した自治体に確認を求める画面が出るケースがあるというが。
A VRSを巡ってはこれまで、接種したのに登録されていなかったり、誤った記録が登録されたりするケースが相次いだ。このうちシステムが間違いを察知し、「要修正」と認識したものがそのままだと発行されない。デジタル庁によると、「要修正」データは16日時点で約10万件あった。また、同日時点で誤っている恐れがある「要確認」データは433万件あり、内容が誤ったまま発行されるケースがある。その場合も自治体に修正を申し出る必要がある。
◆自治体の準備が整っていないと発行できない
Q 20日からすべての市区町村で対応できるのか。
A デジタル庁によると、電子証明の発行は、マイナンバーを取り扱うため、自治体によっては個人情報に関する第三者委員会や議会の手続きを踏む必要があり、20日に間に合わない自治体が出てくる可能性がある。その場合、「選択された市区町村では、まだアプリでの発行受付を開始していません」と表示される。デジタル庁では、アプリによる証明書発行に対応している自治体リストをホームページで公開していくという。
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