総務省が20日発表した4月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が101.4となり、前年同月比2.1%上昇した。消費増税の影響があった15年3月(2.2%)以来、7年1カ月ぶりに2%を超えた。資源高で電気代やガソリン価格などエネルギー関連が大きく上昇した。原材料高で食料品も上がった。
2%は、日銀が目標としてかかげている。米欧も同様の水準をめざしている。物価がこのペースで安定して上がることで、企業収益の拡大や賃上げにつながり、経済が活性化する好循環が生まれると考えられている。
日本の場合、物価上昇圧力は弱く、外的要因に左右されやすい。上昇率が2%に達するのは、消費税を8%に上げた14年4月からの1年間を除くと、世界的な資源高だった08年9月以来、13年7カ月ぶりとなる。今回、生鮮食品も含む総合指数が2.5%上がった。消費増税の影響があった時期を除くと、1991年12月以来の高い上昇率になった。
これまで物価上昇を抑えてきた、携帯電話の料金値下げの影響が薄まったことも全体を押し上げた。携帯大手各社は2021年春に格安プランを導入し、22年3月は携帯通信料の下落が総合指数を1.42ポイント押し下げていた。この押し下げ効果は4月に0.38ポイントまで縮んだ。
品目別に見ると、エネルギー関連が19.1%上昇した。ガソリン補助金の影響で、3月(20.8%)から伸び率は縮小した。高水準であることに変わりなく、エネルギーだけで総合指数は1.38ポイント高まった。電気代は21.0%、ガソリンは15.7%上がった。
生鮮食品以外の食料は2.6%上がり、上げ幅は3月(2.0%)を上回った。原材料価格の高騰で、食パン(8.9%)やハンバーガー(6.7%)が上がった。調理カレー(16.5%)や食用油(36.5%)などの上�昇も目立った。
生鮮食品は12.2%上がり、3月(11.6%)から伸びが加速した。たまねぎ(98.2%)やキャベツ(49%)などが大きく上昇した。さけも13%上がった。ノルウェー産で、ロシアを迂回して運ぶコストがかさんでいる。
生鮮食品とエネルギーも除いた総合指数は0.8%上がった。上昇したのは20年7月以来、1年9カ月ぶり。
インフレは、年内は続く公算が大きい。日本経済研究センターがまとめた民間エコノミスト36人の経済見通し「ESPフォーキャスト調査」によると、物価上昇率は4~6月期が前年同期比1.94%、7~9月期が1.90%、10~12月期が1.88%となっている。電気代や小麦の価格は、原燃料価格の高騰が反映されるまでに時間がかかる。携帯値下げの影響も、今後さらに薄まる。
他の主要先進国に比べると物価上昇はまだ鈍い。米国は4月に8.3%と2カ月連続で8%を超えた。ユーロ圏は7.4%、英国は9.0%に達している。
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