【NQNニューヨーク=横内理恵】27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続落し、前日比7ドル31セント(0.02%)安の3万4160ドル78セントで終えた。午前中に600ドル強上げた後は急速に伸び悩み、下げに転じて終えた。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融引き締めに前向きな方針が示されたが、引き締めのペースには不透明感が強い。金融政策の先行きが読めず、不安定な相場展開が続いた。
26日のFOMCでは3月の利上げ開始を示唆し、利上げ後に保有資産の圧縮を始める方針も示した。パウエル議長も記者会見でインフレ対応の必要性や雇用の強さなどを強調し、想定以上に金融引き締めに前向きな姿勢を示した。市場参加者も金融政策はタカ派方向に傾くとみているが、利上げや資産圧縮のペースは想定が難しい。市場では「金融政策への不透明感が高まった」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との声が多く、相場は上下に振れやすくなっている。
米債券市場の変動も大きくなっており、前日に一時1.88%まで上昇した長期金利が27日は1.78%まで低下する場面があった。長期金利低下を受けて朝方は顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムやソフトウエアのマイクロソフトなど高PER(株価収益率)のハイテク株が買われ、午前中は相場上昇をけん引した。ただ、午後にかけて急速に伸び悩んだ。
ハイテク株以外では、27日に発表した四半期決算が市場予想を上回った化学のダウが5%上げた。石油のシェブロンも高い。製薬のメルクや医薬・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)など業績がインフレや景気動向に左右されにくいディフェンシブ株も比較的堅調だった。
一方、前日夕に公表した業績予想が失望された半導体のインテルが7%安。クレジットカードのアメリカン・エキスプレス、航空機のボーイングなど景気敏感株の一角も売られた。長期金利低下を受け、JPモルガン・チェースなどの金融株も下げた。
投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は前日から低下したものの、30.4と不安心理が高まった状態とされる20を大幅に上回っており、投資家の先安懸念は強かった。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、前日比189.336ポイント(1.4%)安の1万3352.783と昨年5月以来の安値で終えた。新型車の生産遅れなどが嫌気された電気自動車のテスラが12%安。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やエヌビディアなど半導体の下げも目立った。
著名投資家率いる運用会社の株取得が明らかになった動画配信のネットフリックスは8%上げた。
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