ガソリンなど石油価格の高騰に対応し、経済産業省が価格抑制策を発動した。石油元売り会社に対し、卸価格の引き下げ原資となる補助金を支給する。
ただ、ガソリンスタンドは独自に販売価格を決めており、卸価格の引き下げが店頭価格値下げにつながるかは不透明だ。慎重な見極めが欠かせない。
補助制度は石油製品の価格急騰の抑制を目的としており、店頭価格の値下げを直接狙ったものではないという。経産省は制度の趣旨を国民に説明し、店頭での混乱回避に全力を挙げてほしい。
あくまで今回の制度は、緊急避難と位置付けるべきだ。政府が市場に介入し、価格を統制する行為は好ましくない。「禁じ手」であることに留意し、中期的な価格安定策を検討する必要がある。
経産省は昨年、レギュラーガソリンの全国平均価格が1リットル当たり170円を突破した場合、価格抑制策を発動することを決めた。24日時点で基準価格に達したため、元売りに補助金を支給して卸価格の引き下げを促す。過去に例がない補助制度である。
170円を超えた部分を補助対象とし、ガソリンに加え、軽油や灯油、重油に対しても3月末まで補助する。経産省はこれで卸価格を引き下げたい考えだ。
ガソリン価格の急激な上昇は、中小・零細の運送事業者などにとっては大きな痛手だ。寒冷地では灯油の値上がりは家計に重い負担となっている。消費者に恩恵が届くような仕組みを考えたい。
卸価格の値下げで店頭価格も下がる可能性はある。ただ、店頭価格は、地域や店舗で大きく異なる。卸価格の引き下げを店頭価格に適正に反映させる道筋が見えない。これまでの卸価格の上昇を価格に転嫁できておらず、これから値上げする店もある。そうした個別の事情にも配慮が必要だ。
経産省や元売り会社が店側に不当な値下げを強いれば、政府が推進する「下請けいじめの排除」にも逆行しかねない。スタンド関連業界が店頭での不要な混乱を避けるため、同省に制度の周知徹底を求めたのは当然だ。
世界的な脱炭素の流れで油田開発の投資資金は大きく減少しており、石油製品は今後も激しい値動きが予想される。日本は価格変動の影響を受けにくくする構造改革にも取り組む必要がある。
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