Monday, February 21, 2022

総額12兆5000億円以上の隠し財産が明らかになった世界中の政治家や犯罪者が悪用したスイス銀行の口座リストがリークされる - GIGAZINE

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メモ


スイスの大手プライベートバンクであるクレディ・スイスから大規模な情報流出があり、麻薬密売やマネーロンダリング、汚職などさまざまな犯罪に関与する顧客情報と合計1000億スイスフラン(約12兆5000億円)の隠し財産が明らかになったと報じられています。

Suisse Secrets: Schweizer Geheimnisse - SZ.de
https://www.sueddeutsche.de/projekte/artikel/politik/suisse-secrets-schweizer-geheimnisse-e155615/?reduced=true

Revealed: Credit Suisse leak unmasks criminals, fraudsters and corrupt politicians | Credit Suisse | The Guardian
https://www.theguardian.com/news/2022/feb/20/credit-suisse-secrets-leak-unmasks-criminals-fraudsters-corrupt-politicians

クレディ・スイスは世界最大規模の金融企業で、絶対的な機密保持が特色のプライベートバンクを提供する「スイス銀行」の1つです。クレディ・スイスの運用資産は1兆6000億スイスフラン(約200兆円)で、UBSに次ぐ規模で、創業150年を超える老舗銀行の1つです。ただし、近年は業績が悪化しており、2021年第4四半期の決算では前年同期27億スイスフラン(約3370億円)の黒字から20億スイスフラン(約2500億円)の赤字に転落したことが報じられました。

クレディ・スイス、第4四半期は22億ドルの赤字 通期も赤字転落 | Reuters
https://jp.reuters.com/article/credit-suisse-gp-results-idJPKBN2KF0MQ

さらに社内調査で、クレディ・スイスのCEOに2021年4月に就任したばかりのアントニオ・オルタ=オソリオ氏が、スイスで定められた新型コロナウイルス感染症の感染予防規則に2度違反していたと判明し、就任からわずか9カ月でCEOを退任するという騒動も起こっていました。

今回の漏えいは匿名の内部告発者からドイツの日刊紙・SüddeutscheZeitungへのリークに端を発するもので、The GuardianやNew York Timesなどと協力して内容が評価されました。

リークの中身は1万8000アカウント以上の口座リストで、顧客3万人と関連しているとのこと。それぞれの口座には平均して750万スイスフラン(約9億4000万円)入っており、約200アカウントの口座には1億スイスフラン(約125億円)以上が入っていました。リストに挙がっている口座で古いものは1940年代に開設されており、2000年以降は全体の3分の2が利用可能な状態で、記事作成時点でも一部が利用可能な状態だそうです。


リークされた銀行口座を利用する顧客には、東南アジアの人身売買業者、収賄容疑で逮捕された香港証券取引所の元トップ、ベネズエラの国営石油企業を乗っ取った幹部、各国の汚職疑惑のある政治家などが名を連ねているとのこと。

例えば、バチカンが所有する銀行口座は、ロンドンの高級物件を購入するための3億5000万ユーロ(約457億円)を振り込むのに使われたこともわかりました。

1965年から約20年にわたってフィリピンを独裁していたフェルディナンド・マルコスとその妻イメルダ・マルコスと関連のある銀行口座も、リークされたリストの中に含まれていました。この口座は「ウィリアム・サンダース」「ジェーン・ライアン」という偽名で開設されており、1995年に存在が明らかになった際、スイス・チューリッヒの裁判所は口座に預けられていた5億ドル(当時のレートで約4億円)の資金をフィリピンに返還するようにクレディ・スイスに命じました。


また、1996年から1997年の間にウクライナの首相を務め、1998年に金融詐欺の容疑で逮捕されたパーヴェル・ラザレンコ氏の口座もリストに掲載されていました。ラザレンコ氏はクレディ・スイスに口座を2つ開設しており、1つには約800万スイスフラン(約10億円)が預けられたそうです。ラザレンコ氏の弁護士は「クレディ・スイスの口座は20年以上アクセスされておらず、ラザレンコ氏に対する訴訟手続きに関連して凍結された」と述べています。

さらに、エジプトで2011年まで30年間大統領を務めていたホスニー・ムバラク元大統領とその息子2人の口座もクレディ・スイスに開設されていたことが判明。長男であるアラー・ムバラク氏の口座には2億3200万スイスフラン(約290億円)も預け入れられてたそうですが、アラブの春をきっかけに起こったクーデターでムバラク元大統領が失脚した後、エジプト政府との和解金の支払いに1割ほどが使われたとのこと。また、息子2人の弁護士は、10年以上にわたって口座は凍結されていると主張しています。


内部告発者はクレディ・スイスに対し、「口座名義人の情報を第三者に開示することを違法とするスイスの銀行法は、金融プライバシーを保護するという口実で定められているが、実際は脱税者や犯罪者の協力者というスイス銀行の恥部を覆い隠すイチジクの葉でしかなく、不道徳なものだ」と批判する声明をSüddeutscheZeitungで発表しています

一方、クレディ・スイスは「銀行法によって個々の顧客に関連することにはコメントはできない」と述べ、「報道の内容は文脈を無視して意図的に切り取った情報の一部に基づいたものだ。9割の口座はすでに凍結あるいは閉鎖しており、場合によっては法律や業界慣習が現在と大きく異なる時代のものも多い」と反論しています。

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