Sunday, February 13, 2022

コロナ禍のホテル、苦肉の策のはずが…「長期滞在」想定外の人気 - 読売新聞オンライン

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 ホテル業界が長期滞在型の宿泊プランを相次ぎ打ち出している。コロナ禍で旅行需要が激減し、少しでも稼働率を上げようと始めた窮余の策だったが、当初想定したテレワークのほか、家族の感染防止などさまざまに活用され、広がりを見せている。

 帝国ホテル東京(東京都千代田区)は12日、長期滞在型プランをタワー館の全349室へと拡大した。昨年2月に発売した30泊(36万円から)などの連泊プランは対象の全99室が即日完売。同5月に165室まで拡大後も稼働率は8割と高く、全室に広げた。来年3月末まで販売する。

 担当課長の宮崎真理氏は、「テレワークの利用が中心だが、自宅リフォーム中の仮住まいやクルーズ旅行の代わりの滞在といった需要もある」と想定を超える利用に驚く。

 ホテル側は1泊当たりの料金が通常の半額以下など破格の低価格で提供するが、「季節や曜日などによる需要の波が小さく安定収益を見込める」(宮崎氏)メリットがある。

 ホテルニューオータニ(千代田区)は昨年末、3室を長期滞在専用に改装し、キッチンや洗濯機を置いた。最上級の部屋は30泊280万円からで、企業経営者らの利用を見込む。

 観光庁によると、国内宿泊施設の稼働率は2019年の62・7%から20年は34・3%まで下がった。長期滞在型は業界にとり、数少ない活路となっている。

 中小のホテルにも浸透している。1週間以上の長期連泊予約サイト「マンスリーホテル」の調べでは、利用者の1泊の平均価格は3448円で、会社員が半数を占める。同サイトの担当者によると、目的はテレワークや休暇と仕事を両立させる「ワーケーション」が中心だが、感染対策として受験生の子供との接触を控えるための利用もあるという。

 都内で引っ越しを検討していた男性(40)は「昨年、条件の良い物件が見つかるまで3か月ほど都内ホテルで生活した」と話す。

 「ホテルメルディア荻窪」(東京都杉並区、全38室)は近く長期プランを始める。小林健二支配人は「先の需要が見通せれば従業員の士気向上につながる」と語る。通常より客室の清掃回数を減らせるのでコストも抑えられるという。

 滞在の目的を新たに用意し、利用拡大につなげる動きもある。「リーガロイヤルホテル」を運営するロイヤルホテルは昨年10月、介護施設運営会社と組み、大阪市の旗艦ホテルで歩行訓練などリハビリ支援が受けられる宿泊プラン(30泊196万円から)を始めた。

 PwCコンサルティングの澤田竜次氏は「通常の旅行需要が戻った後でも感染症などのリスクに備え、長期滞在の集客に取り組むホテルは多いのではないか」と指摘する。

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